雑記&SS格納庫。
萌えとかエロとかフリーダムに語ったり。 書き溜めてるけど置き場のないSSを格納したり。 コメントいただけると失禁するほど喜びます。
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SSをアップしてみる。その2
・ライアルが大フィーバーしてた頃に書いたライアル1発目。
・とりあえずアルバの口調がゼタ難しかった
・一人称「おいら」は可愛いけどノベルで使うには難しかった
・4をやる直前に無印をクリアしていたせいもあって、無印の頃の思い出話を書きたかったんです実は
・無印の主人公はトウヤ、パートナーはソルがデフォルトです。
・横斬りの剣道部主将が最高すぎるっていう話(そうなんだ)。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「…でさ、エドスが急にお花見に行こうって言い出して、母さんが張り切ってお弁当作ってくれて、皆で出掛けたんだけど……」
エドスは結婚して、もうすぐ父親になるという人。
母さんはリプレの事。フィズとラミはリプレママ、と呼んでいる相手。
「城の人達がアルサックの花が咲いてる辺り一帯を占拠してて入れなかったんだ。…そしたら、ガゼルがトウヤ兄ちゃんを唆して会場に忍び込んじゃって…」
ガゼルの事は呼び捨てにする。
トウヤ兄ちゃんていうのは、アルバが「尊敬する人」の1人だ。
「………ライ?」
アルバの話の中に出て来る「家族と等しい大切な人達」の名前はもう、大方覚えてしまった。
「あ…ごめん、…この話、面白くなかったかな」
話を聞かせて欲しいと言っておきながら、アルバの口から会った事のない相手の名前が出るたびに不機嫌な表情になっていくライに、アルバは困ったような顔をする。
「……別に、面白くないなんて言ってないだろ」
「なら、いいんだけど…」
「……続けろよ」
明かに不機嫌な様子で告げられて、アルバは尚も困り顔で。…けれど、促されるままに話を続けた。
“城”の花見会場に忍び込んだ2人が城に使える召喚師に見つかってしまい、騒ぎになった事。
会場で出された食事に手をつけたという2人に怒ったリプレがその晩の食事抜きを命じた事。
それはまだアルバが幼い頃の、楽しい思い出のひとつだ。
「…トウヤ兄ちゃんがさ、あの時ガゼルを止めるべきだったって本気で後悔してたのが可笑しかったんだよな」
「………面倒な事になるかもしれねぇのにつまみ食いするために忍び込むなんて、相当貧しかったんだな」
家族愛というものはあまり与えられなかったライは、…けれど、今日1日の食事にすら困るというほどの貧しさを経験した事はない。
呆れたように呟くと、アルバは苦味の混じった笑みを浮かべた。
「そうだよ。…だから、母さんはいつも色々節約して頑張ってくれてたんだ」
貧しかったけれど、アルバは血の繋がりのない中で、本物以上の家族愛に包まれて育ってきた。
正反対だな、と思う。
…だからこそ、惹かれるのだろうか。こんなにも。
「……その結果があのパンの味なんだよな」
「…かもね」
アルバの言葉に頷くでもなく、独り言のように呟くと。
アルバは小さく頷いて、答えた。
そして、表情を窺うようにライに視線を向けながら、言葉を繋ぐ。
「……ライは、さ」
「…うん?」
「最近、…おいらの話を聞いてると、怒っ…た、ような、顔に、なるんだよな」
とても言い難そうに言葉を選びながら話すせいで、アルバの言葉は必要以上に途切れる。
怒った顔、というのは違うような気がするけれど、アルバの目にはそう映るのだろう。
なんだかばつが悪くなり、ライは視線を逸らした。
「…別に、…怒ってるわけじゃねぇよ」
「……本当に?」
「当たり前だろ。…大体、こうやってお前の部屋まで押しかけて、話聞かせろって言ってんのはオレの方なんだし」
…そう。
ここは、ライが経営する宿屋の一室。
アルバに貸しているこの部屋にはシンゲンという同室者がいるはずなのだけれど、気を遣っているのか単に偶然なのか、ライが訪れる時は必ずシンゲンは部屋にはいない。
いつもライが部屋を出るとすれ違いのタイミングで戻って来る、とアルバが言っていたから、恐らく偶然ではないのだろうけれど。
別に聞かれて困るような話をしているわけでもないのだからシンゲンがいても構わないのだけれど、正直な所、ライは有り難いと思っている。
「……………多分オレ、…嫉妬、してんだ」
「…え?」
ライが唐突に口にした本音に、アルバは不思議そうな顔をした。
嫉妬、って、…何に?
告げられた言葉が、何に対しての感情であるのか。
問い掛けられて、ライは視線を逸らしたまま、言葉を返した。
「……アルバの話にいつも出て来る、…仲間に」
「………どうして…」
「…お前は、……ここにいるオレ達より、サイジェントにいる仲間の方が、大事なんだろ」
呟いてしまってから、後悔する。
大人げない、幼い子供のような独占欲剥き出しの、嫉妬の感情。
吐き捨てるように呟かれたその言葉に、アルバは珍しく、はっきりと不服を表情に浮かべた。
「……そんな風に、思ってたのかよ!」
普段あまり聞かないアルバの強い口調に、ライは思わず逸らしていた視線をその表情へと戻した。
……アルバが、怒っている。
「おいらはそんな風に、どっちの方が大事だとか、そんな事、比べたりしない!」
「………………ごめん……」
口をついたのは、謝罪の言葉。
謝罪を口にしながら思っていたのは、アルバはこんな表情を見せるのか、とか、そんな事で。
もっと色んな表情を見たい、などと考えていると、アルバはまだ不服そうな顔をしたまま、
「今度そういう事言ったら、……ええと、……もう、口きかないからな」
脅し文句が咄嗟に出て来ず、言葉が途切れてしまうのがどうにもアルバらしい。
途切れた後に続いたのも、まるで子供の喧嘩の常套句のような脅しで。
ライは思わず、吹き出してしまった。
「なんだよ、…おいらは本気なんだからな!」
精一杯の脅しを笑われて、照れ臭そうに言葉を繋ぐ。
可愛い、などと思っている事を告げたら、更に怒ってしまうだろうか。
「わかったよ。…ごめん。もう言わねぇから」
「うん。わかればいい」
再度謝罪を口にすると、アルバは得意げな表情を装って頷いた。
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